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翻訳資産管理

膨大なコストと時間でなされる翻訳。しかし過去に翻訳された文献はきちんと資産として管理され、有効に再活用されているでしょうか。資産が膨大になるほど、人間の記憶力や原始的なファイル管理だけでは手に負えなくなってきます。
各会社では、どうしているのでしょうか? 大きなプロジェクトだけを莫大な初期投資をして構築したシステムで管理しているのでしょうか?

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課題

やがてAI(Artificial Intelligence:人工知能)や自動翻訳に取って代わられるといいながら、令和に入ってもまだまだ翻訳には「職人の手作業」に頼った工程が多く残っています。人間による翻訳は素晴らしいですが、「手作り」ならではの問題が多くあります。

  • とにかく翻訳は時間がかかる(だから単価も高い)

  • 翻訳者が変わると訳文の文体や用語が変わってしまう

  • 翻訳者が変わらなくてもそのときの気分によって文体や用語が変わってしまう

  • 同じ文を翻訳してもらっているのに毎回翻訳が違ってくる

  • そもそも同じ文に何度も翻訳料金を払いたくない

  • 訳語が統一されていなかったり、社内用語を守ってくれなかったりすることが多い

  • 新規に本を作るより、改訂が多い。新旧の見比べや差分の洗い出しは面倒だ

  • 似たような本を繰り返し作っているのに、翻訳だけでなくDTP作業も繰り返さなければならない。機械製品のように部品化して組み合わせて流用できないものか

  • 話題の機械翻訳(MT:Machine Translation)も使ってコストを下げてほしい

  • また莫大な初期投資の話か、もうウンザリ

  • 大きな予算はとれないけれど小さな文書だって管理したい

解決策

翻訳資産管理。翻訳はデータ、データ管理にはデータベースを使うしかありません。

今日のプロ翻訳者はデータベースシステムを使います。ただし翻訳に使うものはデータベースとはいわず、翻訳支援ツール(Computer Aided Translation tool)、略してCATと言います。翻訳者の多くは個人の自営業者(フリーランス)ですから、CATは個人でも購入できる価格です。

そんな安価なソフトウェアを導入するだけで、上記の「課題」のすべてを改善あるいは解決できるとしたらいかがでしょう?

CATに原稿データを取り込むと、原文に対する訳文を併記することができるバイリンガルファイルが作られます。このバイリンガルファイルの訳文欄に翻訳者は訳文を入力してゆきます。

翻訳者は自分の言語力、翻訳メモリ(過去の翻訳資産を集めたデータベース)、用語ベース(用語だけのデータベース)を動員して翻訳を行います。翻訳の作業中もデータベースに訳文が蓄積されてゆきます。

図表も含めてレイアウトされた原文のデータに訳文が直接上書きされるため、生成された訳文の体裁は原文に近いものとなります。訳文のために一からDTPをやり直す必要がありません。これは、一つの言語から多言語に展開する場合には特に重要です。

過去に似たような原稿を翻訳したことがある場合や、改訂版の翻訳を行う場合、新旧を見比べての相違箇所の洗い出しを行う必要もなく、既訳の訳文が必要な箇所に呼び出されてきます。過去にまだ翻訳していない箇所のみを翻訳すればよいので、時間とコストが削減されます。

翻訳が完了すると、生成された訳文のほかに、使用済みの翻訳メモリ、用語ベース、そして原文と訳文が揃ったバイリンガルファイルが残ります。これらが貴重の翻訳資産となります。

翻訳会社に発注して、成果物である訳文だけを受け取ることが多いでしょうが、自分で管理したいのであればぜひ、翻訳メモリや用語ベース、そして最も価値が高いバイリンガルファイルを受け取りましょう。これらを管理するだけで翻訳資産の価値が飛躍的に高まります。

翻訳にCATを使うということ自体は既に20年以上の歴史がありますが、翻訳資産管理の第一歩であり、基本中の基本です。

データベースの効果は、「2冊目の翻訳」からではなく、1冊目から出てきます。大きな文書に限らず、わずか数行の翻訳でもCATを使用すれば、翻訳を「使い捨て」にすることなく後で活かしやすくなります。

CATを自ら使用しなくとも、その存在を知り、意識することで、良い原稿を作ることへの意識も高まってきます。

もし、まだ翻訳資産管理は十分に行えていないと感じていらっしゃるようであれば、コストダウンや改善の余地が大いにある可能性があります。

まとめ

翻訳にCATツール(データベースによる翻訳資産の再利用)を使うのはもはや基本中の基本、少ない投資で非常に大きな効果があります。

CATを理解し、翻訳文だけではなく翻訳メモリやバイリンガルファイルも納品してもらい、手元に置いて管理しましょう。

CATツールを用いた翻訳資産管理のことなら、何なりと弊社にお問い合わせください。

(2019年7月1日)

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